デトロイト・メタル・シティ/8点:傑作。オススメ!

デトロイト・メタル・シティ スタンダード・エディション [DVD]

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【あらすじ】
 
 オシャレなポップシンガーを夢見て、片田舎の実家から上京した、心優しき青年、根岸宗一。
 友人にも恵まれ、順風満帆のオシャレ大学生活を過ごした根岸は、念願かなって音楽界に華々しくデビューを果たす。
 しかし、それは夢見たオシャレ系ポップシンガーなどではなく、悪魔系メタルバンド"デトロイト・メタル・シティ”のギター兼ボーカルのヨハネ・クラウザーⅡ世としてだった。
 本人の意図とは正反対に、熱狂的ファンに支えられながらD・M・Cはカルト的人気バンドへと上り詰めていく。
 夢と現実のギャップの間で苦悩する根岸。彼にはどんな運命が待ち構えているのだろうか…

【感想】
 
 同名コミックを実写で映画化した作品。奥さんたっての希望で、公開当日に映画館にて鑑賞。
 どうせ安っぽい邦画でしょ?と高をくくって観に行ったんですが、いやいや、涙が出るくらい笑えました。松ケン、役にハマり杉。素晴らしい。
 ドラマ、感動、伏線とは無縁のオムニバスギャグ漫画(しかも下品)を、よくもこうメリハリの利いた作品にまとめ上げたなあと感心。正直、原作より面白い、と断言しても差し支えない出来でした!もうなんか、カテゴリが"クソワロタ"でもいいくらいです。
 
 「DMC」がなぜあんなにも人気を誇っているのか?原作では"漫画だから"という一言で片付けられるこの疑問について、この映画は"映画だから"では片付けず、DMCの"凄み"を非常に丁寧に演出していました。
 小鳥のさえずりが良く似合う、日常生活の牧歌的な雰囲気と、正反対に暴力的なライブシーンとのメリハリが心地よく。「F゙X゙X゙X゙X゙X゙X゙X゙C゙K゙!!」とシャウトする松ケンに、思わずクラクラ来てしまいます。CDで冷静に聴いたらそんなんでもないのでしょうが、ライブの高揚感は上手く再現されていたと思います。
 漫画の吹き出しで体を揺らすのは無理な相談ですが、本作を見ながらヘッドバンキングをするのは十分可能でしょう。映画館でそんな事したら周りに可哀想な顔をされちゃうのでやりませんけど。
 基本的には、原作エピソードを忠実に再現しながら物語が進むのですが、エピソードの取捨選択が非常に上手で、嫌味無く青春ドラマに昇華させているのも好印象。原作愛に満ちた、幸せな映画化作品でした。
 
 ただ、欲を言えば、クライマックスの贅肉はもう少し削ぎ落として、ビシっと締めて欲しかったです。
 (続編を作りたい!と言う)大人の事情でこんな結末になったのかとは思うのですが、それでももっと綺麗に終わらせる方法はいくらでもあったように思えます。
 
 頭の中を空っぽにして楽しめる、箸が転がるだけで面白い、そんなテンション芸映画でした。
 是非とも、原作ファンの方は映画館で爆音の中、鑑賞される事をオススメします。きっと、日頃の溜まりに溜まった鬱憤も、クラウザーさんのシャウトが癒してくれることでしょう。
 
 邦画も捨てたモンでは無いですね。面白かった!ナイスタンバリン!

【蛇足】

  • すみません。絵馬のシーンでは正直ボロボロ泣きました。これは反則でしょ…。J( 'ー`)し
  • ちなみに奥さんの評価は7点。思ったより辛口。帰り道に、「相川(加藤ローサ)のせいでモヤッとした!この雌豚が!」って言ってました。クラウザーさんが降臨された!!
  • あと、「実際にDMCのライブに行ってヘッドバンキングしたくなる。フラストレーションが溜まる。」とも言ってました。そんな無茶な。
  • クライマックスでクラウザーさんが「Fxxk!Fxxk!」言ってるシーンで、隣の6歳くらいの男の子が「頑張れー!」って可愛い声で応援してました。お父さん、なんでこんな無垢な子をこんな映画に連れてきちゃってるんですか。
  • しかしあんなに神格化してるのに「クラウザー"さん"」って呼び方。なんなんでしょうね。