HOSTEL/6点:佳作。レンタルで見て損はない

【あらすじ】
 
 アメリカ人大学生のジョッシュとパクストンは、退屈な日常に刺激を求め、ヨーロッパ各地を気ままに旅していた。
 フランスで意気投合したアイルランド人のオリーを加え、彼らの遊びは日々過激さを増していった。
 歓楽街で堕落した楽しみを貪る彼らだったが、そこで、スロバキアのとある"ホステル"で最高の快楽を得られる、という噂を耳にする。
 3人は更なる刺激を求め、無邪気な期待を胸にそのホステルへ向かうのだった…。

【感想】
 
 無邪気なバックパッカー一行が、人間の狂気の犠牲となっていくバイオレンス映画。
 こう言った、体がスパーン!血がドバー!と言ったジャンルが大好き!という訳では無いのですが、不条理なモンスターや幽霊の類いが出てこなければ血みどろシーン満載でも怖くない!と言うことで鑑賞に至りました。(僕自身は面白ければホラーも嫌いじゃないのですが、奥さんが幽霊の類が駄目なので…)
 残虐な殺人表現と、多彩なおっぱい表現が作品中に多分に含まれておりますので、絶対にお子様とは一緒に観ないようご注意下さい。R-18指定ですのでまずそういった不幸は起きないと思いますが。
 
 いやー、しかし、前半は本当に能天気な映画ですね!ひたすら本能に忠実に豪遊する、3人の主人公を映すシーンが延々と続きます。この映画に限らず、映画にお色気は期待してないので、ぶっちゃけ早く本題に行け!と、思っちゃいました。ただ、風俗店のシーンで、たくさんのドアの内側に誘惑する女性の姿が見える、と言うシーンがありますが、後半で全く異なった意味合いで同様のシーンがあるのは面白いなーと思いました。
 
 そして後半。
 前半のピンク色一色のイメージは、徐々に黒と赤の重苦しい色で塗りつぶされていきます。日常から非日常へのシフト。緩慢に、しかし確実に観客を追い詰めていきます。
 
 …?
 ここはどこだ?
 何故動けない?
 (痛い!)
 …痛い?
 どうして俺がこんな目に?
 助けて!
 (痛い!)
 助けてくれない?
 これは冗談?
 夢?
 (痛い!)
 夢じゃない!?
 (痛い!痛い!痛い!痛い!)
 
 不条理。後悔。無常。悲観。無力。絶望。当事者でもないのに、そう言った負の感情がどっと押し寄せる拷問シーンは、本当にいたたまれなくなります。
 だからこそ終盤の脱出シーンのカタルシスは素晴らしい。前半、中盤で溜めた鬱憤を、終了直前の数十分で怒涛の勢いで回収する。そういった映画でした。
 
 決してつまらない映画では無かったので、刺激的な映像と、日本の治安の良さを再確認したい方はご覧になってみては?
 意外と直接的な表現は少なめにはなっておりますが、血が苦手な方は観ない方が身のためです。
 こんな娯楽(?)映画に教訓を求めるのも何なんですが…皆さん、門限はちゃんと守りましょうね。

【蛇足】

  • 5.1ch環境だとチェインソウの音が後ろから聞こえてきてドキドキ。楽しかった。
  • 不謹慎ですが、クライマックスはスカっとしますね。でも、これ(やられた分だけやり返せ!)を日常生活に持ち込んじゃ駄目ですけど。
  • ステマイズされた娯楽殺人ビジネスより、子供の無垢な悪意、殺意が一番凶暴っすね。
  • 『お岩さん』メイクは幾らなんでも安過ぎでは…? あと、ハサミはいかんだろ…。
  • 本当に恐ろしいのは屈折した人間の心だよねー。…って言う映画が好きなのかも。