WALL・E(ウォーリー)/7点:良作。映画館で観ても損はない
【あらすじ】
遠い未来、荒れ果て、人間の居なくなった地球で、ごみ処理ロボットのウォーリー(WALL・E)はただひとり、見渡す限りのゴミの中で健気にゴミを圧縮処理していた。ごみの中から時折みつかる面白い物をこっそりトレーラーハウスへ持ち帰っては、それらのコレクションと共に古いミュージカル映画を見て孤独を紛らわす日々。そんな慎ましい日常を過ごしていたウォーリーの元に、ある日、宇宙から巨大な宇宙船とともに、純白の流麗なフォルムのロボット・イヴ(EVE)が舞い降りる。自分以外の存在に出会えた喜びからか、ウォーリーはすぐにイヴに夢中になるのだが…
人間が居なくなった理由とは?イヴの目的とは?ウォーリーの余りにも身分の違う恋は実るのだろうか?
【感想】
ピクサー好きを自認する私としては、これを観ずして何を観る!とばかりに鑑賞。
3回泣きました!どこで泣いたかは微妙に覚えてませんが、ホロリ、ホロリ、ポロポロくらいで3回泣きました!
スケールの大きさ、主要キャラがロボットと言う面では珍しいですが、乱暴に言ってしまえば舞台を宇宙へ変えたファインディングニモ(さらわれた愛しいあの子を取り戻せ!)ですね。魚では全然泣かなかったのに、ロボットで涙するなんて、なんだか生き物として間違っているような気もしますが。
地球上に一人、と言う設定だけみたら「アイアムレジェンド」なんですが、こちらは純愛?もののハートウォーミングストーリー。
トイ・ストーリーやカーズでつくづく思いましたが、無機物を活き活きと描く技術に関してはピクサースタジオの右に出る者は居ませんね。ウォーリーもイヴもとにかく仕草が可愛すぎ。特にイヴ(世紀のツンデレロボ)に至ってはあんなコクーンみたいな形してるにもかかわらず(?)あれだけキビキビ動くのには心底感心。ロボット達の台詞無き感情表現も素晴らしく、隅から隅まで、メカ愛、ロボット愛に溢れた一作でした。
映像的な面でも、序盤の荒廃しきった地表と、ウォーリーが積み上げた瓦礫の摩天楼が立ち並ぶ景観はため息が出る程美しく、映像美と言う点では100点満点と言えるクオリティでした。
…と、映像、演出面においては大変評価出来るのですが、正直、ストーリー面については残念な部分が多かったです。
作品のテーマとしては、社会に管理される者達の成長…といったところなのでしょうが、爽快感は今ひとつ。…と言うのも、主要キャラクタがロボット、という事もあり、性格付けに魅力が薄く感情移入が難しく感じました。特に、対立?する存在が憎めない、むしろ、憎むに値しないほど影が薄いのが大問題。「Mr.インクレディブル」や「カーズ」における敵キャラの憎たらしさ、そしてそれを打ち負かした時の爽快感を体験した後では、肩透かしを食らったような薄味さ。
超ハッピーエンドで幕を閉じたのも、お話的には良いものの、序盤あれほど描いた荒廃し切った環境描写との整合性がつかず、ご都合主義を強く感じてしまいました。700年の年月が経過してるのであれば、ある程度環境の改善を描いた上でエンディングへの布石とした方が良かったような…。
…と、いう事で、ピクサー作品にストーリー、爽快感を期待する方はDVDでの鑑賞で十分かと。
ロボ、メカ萌え属性をお持ちの方は映像作品として大きなスクリーンで鑑賞するのも良いのではないでしょうか。
【蛇足】