ベルヴィル・ランデブー/7点:良作。映画館で観ても損はない
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: DVD
- 購入: 5人 クリック: 82回
- この商品を含むブログ (74件) を見る
【あらすじ】
フランスの片田舎で、おばあちゃんと暮らす少年、シャンピオン。
生まれつきの内気な性格からか、友達と呼べるのは愛犬のブルーノだけだったが、プレゼントされた三輪車をきっかけに、いつしか世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランスへ出場することに憧れるようになった。
それから数年後、日々のトレーニングの甲斐もあって、シャンピオンは夢見たツール・ド・フランスへ出場する。
しかし、そのレースの最中、シャンピオンは何者かに誘拐されてしまう。
おばあちゃんはシャンピオンを助ける為、愛犬のブルーノと大都会ベルヴィルへと向かう。
誘拐犯の正体、そして目的とは?シャンピオンの運命やいかに?
【感想】
フランス発、世界中に衝撃を与えた(らしい)アニメーション作品。
一種、病的なほどにデフォルメされたデザインのキャラが無気力に(?)活躍するアクション(?)映画です。
ジャケットのデザイン、色味からは牧歌的な、ハートウォーミングストーリーを期待していましたが、蓋を開けてみれば、意外や意外、感傷とはまるで無縁の武闘派映画。映像的な見せ場がふんだんに用意された意外な展開に、大いに感情を揺さぶられました。
近年の型にはまった映画の数々とは全く異なる、「尖った映画」でした。
本作品の大きな特徴のひとつに、ほとんど台詞が無い点が挙げられます。
アニメーションに必要なのは「小難しいストーリー」や「キャラクターの心温まる交流」なんかではなく、「絵が動くこと」なんだ!と言わんばかりのパワフルな作品に仕上がっています。
「むしゃくしゃしてやった」ような無機物のデザイン、ストーリーがギリギリ成り立つ不条理な世界観。
普通の作品なら、ひとつだけでバランスを崩しかねない自己主張の激しい要素が、奇跡的なバランスで噛み合って作品を構成している様子は、まさに一種の芸術作品。
ただ、本当に赤い血が流れているのか心配になるような、爬虫類的なキャラクターデザインなど、非常に毒気の強い作品の為、いくら芸術と言っても好き嫌いの評価は真っ二つに分かれると思われます。
どんな肌の色、どんな国の人でも合う人は合うし、合わない人は合わない、そう言った映画です。
メジャーには『絶対に』なり得ないと思いますが、多くの作品の中にうずもれるような作品でもありません。
日本人の感性では、まず作り出せない映画の空気感を楽しむだけでも鑑賞の価値はあるかと思います。
小さなお子様や、カエルが苦手な方はトラウマになる可能性がありますのでオススメできませんが、それ以外のすべての映画好き、アニメ好きの方は是非一度ご覧頂きたい作品です。
鑑賞後にはなんにも残りませんが、体験した事のない80分間は保障します。
【蛇足】
- 正直、おばあちゃんが海を越えるシーンまで、この映画の立ち位置を勘違いしてました。そういう映画ならそういう映画って最初に言ってよ!
- エンドロール後の『10分…(´・ω・`)』のネタ、良いですね。"カーズ"にも同様のネタがありましたが。
- 奥さんに"字幕読むのが疲れるから今日は映画観たくない"と文句言われつつも観た映画。実に空気の読める映画だ。